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- 7月
2015・6月議会
日本共産党岡山市議団・反対討論 竹永みつえ
私は、日本共産党岡山市議団を代表して、陳情第7号安全保障関連法案の策定の中止を求める意見書の提出について、ほか、6件の陳情について委員長報告に反対し、採択すべきとの立場で討論します。
まず、陳情第4号 働きすぎの防止と良質な雇用の確立を求める意見書の提出についての陳情不採択についての反対理由をのべます。
この陳情は国に働きすぎの防止と良質な雇用の確立を求める意見書を提出してほしいという内容です。
今国会に内閣が提出した「労働基準法の一部改正法案」と「労働者派遣法の一部改正法案」が働きすぎや、不安定雇用をより深刻化する内容となっていることを危惧しての陳情です。 派遣法改悪案は、派遣は「臨時的・一時的」な業務に限る、「常用雇用の代替」禁止―という二つの大原則を根底からくつがえす大問題を抱えており、良質な雇用の確立とは逆行する内容でありこの陳情は採択すべきです。
次に陳情第10号の米価暴落等に対する対策についてです。コメの価格が年々下がり、ついに一俵一万円にも満たない実態で農家の経営を圧迫しています、その上に国の政策転換でコメの需給対策から撤退する方針がだされています。農業従事者の多い岡山市として、農家の経営が成り立つように手立てをとることと、国に要望することは急務です、よってこの陳情を採択すべきです。
次に陳情第7号、8号、9号、12号、13号の5件の陳情についてです。これらは、提出団体は違いますが、内容は、今国会で審議中の安全保障関連法案の策定中止や廃案を求める内容ですので、一括して不採択に対する反対理由を述べさせていただきます。
戦後、日本の自衛隊は半世紀余りにわたって、一人の外国人も殺さず、一人の戦死者も出してきませんでした。戦後一貫して「海外での武力行使は許されない」という憲法の歯止めがあり、これまでの、歴代政府は「海外での武力行使はできない」との憲法解釈をとってきた結果です。しかしこの法案はその国のあり方を根底から覆し、アメリカの無法な戦争に日本が参戦するという危険な中身であり、どう説明しようとも憲法違反です。直ちに廃案、撤回するべき立場で討論します。
陳情審査のときの総務委員会を私は傍聴させていただきました。自民党市議団は、「2度と戦争をおこさないこと、そして、日本国民の命と平和な暮らしを守ることが政治の責任だ、しかし万が一の事態、たとえば周辺国からのミサイル攻撃、離島の不法占拠、国際的なテロやサイバー攻撃、海外で危機に巻き込まれた日本人の救出などあらゆる事態に対応できるような隙間のないかまえで国民を守っていかなければならない。隙間を防ぎ抑止力をさらに高めて戦争を未然に防ぐのがこの法の目的であり、自民党の中核となる精神の部分である」と述べられました。
公明党市議団も、「この陳情に関しては、まったく前提となる認識に違いが生じているということ、切れ目のない対応ができるよう今回の法整備をしていることにより抑止力を高める、そういった意味では国を、国民を守るための必要な法案であると思っています」との理由で不採択の表明をされました。そして、おかやま創政会は法案には反対と言いながら陳情には不採択と表明し、いっさい理由は言われませんでした。
自民党市議団の言う、周辺国からのミサイル攻撃、離島の不法占拠などの万が一の場合がおきたとしても今の個別的自衛権や自衛隊法などの現行法で十分対応できる事態であり、周辺国で起こる事態に対応するために、ほかの国の戦争に協力して地球の裏側まで行って参戦する必要があるとは思えません。
そして、「切れ目のない支援」というのは、あらゆる事態への「切れ目のない対処」を掲げ、自衛隊をいつでも、どこでも、国際法上どんな根拠でも、米軍の戦争を支援することです。すべての法律から派兵先の地理的制約がなくなり、従来の派兵法が禁じていた戦闘現場・戦闘地域での活動も容認されます。自衛隊は他国が攻撃されただけで参戦する集団的自衛権の行使を「主たる任務」とする事実上の軍隊へと位置づけ直されることになります。国民にとっての切れ目のない支援ではなく、アメリカにとっての切れ目のない支援となっています。日本が攻められてもいないのに、アメリカの戦争の手伝いをして日本を戦争する国とすることのほうが、ほかの国から危険な国とみなされ攻撃の対象になるのではないでしょうか?平和の国日本への信頼が崩れてしまいます。
そして国会の論戦であきらかになりましたが、政府の言う「後方支援」「武器の使用」「武力行使と武器の使用との一体化」はすべて世界に通用しない概念です。
たとえば、政府の言う後方支援は、弾薬や燃料の補給、武器や兵員などの輸送、壊れた洗車の修理等は、国際的には「兵たん」と呼ばれる活動のことで、攻撃の一番の目標とされるのは軍事の常識です。自衛隊が、兵たんをしている場所が戦場になります。戦闘地域での兵たんについては英語では前方、後方という概念は含まれていません。日本の自衛隊が行うのはあくまでも後方で行い、前方にはいかないというのは、政府のごまかしの論法であり、国際的には通用しません。
国会討論の中で安倍首相は「戦闘地域」で自衛隊が兵たんを行う際、相手から攻撃されたら、武器の使用をすることを認めました。そして武器の使用についても、政府は「武器の使用はするが武力の行使に当たらない」と繰り返しています。国際法上は武器使用と武力行使の間に違いがあるという概念がないと外務省も言っています、武器の使用が武力の行使に当たらないという政府の議論は世界で通じません。自己保存のためなど国会ではいろいろ理由をつけていますが、国際法上は武力行使なのです。
そして政府は他国の武力行使と一体でない後方支援は武力の行使に当たらないと言いますが一体化の概念も英訳できないこともはっきりしています。
また、憲法解釈を変え集団的自衛権を行使することを、政府は、「国の存立危機事態に陥り、ほかに手段がない場合に、必要最小限の実力行使を認めるということで、他国防衛を目的とする集団的自衛権ではなくあくまでも自国防衛だ」と言い、法の必要性を言っています。
しかし国会の議論で、我が党の議員団の「安全保障環境が変容したというが、他国に対する武力行使により、「存立危機事態」に陥った国が世界に一つでもあるのか?」との質問に外務大臣が「実例をあげるのは困難です」と答えました、一つも実例があげられないのです。すなわち戦争法案の立法事実が根底から崩されたのではないでしょうか?
そして、政府はアメリカとの防衛協力と米軍の後方支援ばかりを言っていますが、戦後、アメリカは、ベトナム、イラクをはじめ多くの先制攻撃の戦争を実行しています。1980年代にはグレナダ侵略、リビア襲撃、パナマ侵略などの戦争をしかけましたが、いずれも、国連総会が圧倒的多数で国連憲章と国際法に違反していると決議を採択しています。
米軍の行動そのものが国際的にも無法な軍事行動であり、攻撃を受けた国に多くの犠牲をもたらし、米軍を支援した各国でテロが増加していることが事実です。経済支援だけで日本は国際協力をしていないと、非難があると政府は一体ますが、今世界中で活躍しているNGOの人たちの国際貢献は世界から信頼されています。
この事実を直視すれば、アメリカの軍事行動に対して日本が支援することのどこが安全で国民のいのちを守ることにつながるのか、だれにもわかることではないでしょうか?しかも日本政府は一度もアメリカの侵略戦争に国際法違反と反対したことがないのです。この異常なアメリカ追随ぶりの日本が、違法な武力行使をした国を支援することはないと言って誰が信用できるのでしょうか?
大量の日本人が紛争地帯に取り残されないようにすることが、まず必要です。海外にいる日本人が、紛争や戦争に巻き込まれないようにするのは政府、外務省の責任です。海外情勢を察知し、避難勧告をだし、当該国政府に日本人避難の協力を求める外交努力こそが政府の責任です。それができない理由を憲法や現行法制度に求めるのは政府の責任放棄です。
米軍も人質救出作戦に失敗続きです。自衛隊にできると主張するほうが無責任だと、自衛隊の機関紙も述べています。
中国や北朝鮮の脅威をあげて抑止力の確保のためと言う声もありますが、そもそも軍事に対する軍事の悪循環こそ危険な道です。戦争で平和を作れないことはイラク戦争の顛末を見てもあきらかです。日本国憲法9条をいかした平和の外交戦略を確立することこそ平和への道だと私たちは考えます。「戦争の未然防止」というのなら、現在、国際NGOが活動しているように、非軍事で貢献し、地元住民との信頼関係を高めることこそ重要です。
今、どの世論調査でも国民の5~6割が憲法違反との結果が出ており、今国会での成立には7割~8割の人が反対という結果がでています。
赤磐市は全会一致で慎重審議を求める意見書を提出する陳情を採択しました。また。福岡県では3市8町の議会が慎重審議を求める意見書を提出しています。その中のうきは市の副議長は「国民の中にはいっぱい疑問があるだからこそ慎重審議が必要、自衛隊が危険な場所にはいかないから問題ないというが、自衛隊の戦地派遣がやがて徴兵制につながり戦前のようになるとの危惧があるのは当然、国民の理解を置き去りにしないように議会が意見書という形で民意を国政に届ける意義は大切です」と述べています。岡山市議会でも国民の声を踏まえてせめて慎重審議の意味でこの陳情を採択出来ないかと思います。
議論すればするほど、政府の説明は完全に破綻しており、数の力で押し通すことなど絶対に許されません。法案に反対する声と運動は、学者、法曹界、宗教者、演劇人、若者、女性、地域などで大きく広がっています。岡山でも弁護士会が7月25日に大きな集会とデモを予定しています。
また、陸上自衛隊の自衛官として茨城県の霞ケ浦駐屯地の後方支援部隊で9年間勤務した自衛隊員が、この春の地方選挙で日本共産党の議員となりました。憲法9条を踏みにじり自衛官を他国の戦争に参加させるという集団的自衛権への動きを何とか食い止めたい、後輩の自衛官を絶対に戦死させないという強い思いで頑張っています。
自民党の皆さんも、公明党の皆さんも、戦争はいけないと言われています。自民党の野中広務元官房長官と古賀誠元幹事長両氏も、「わずかでもあの戦争に参加したことのある経験のある私が安倍首相のはぐらかしの国会答弁をみていて、死んでも死にきれない気持ち」「後方支援ということで地球の裏側までいけるようになることは、恐ろしい、歴史を真剣に勉強してもらいもう一度耳を傾けて欲しい」と述べています。
いろんな立場の人が抗議の声をあげているときに岡山市議会として無視する訳にはいかないと思います。
私は被爆二世です、10歳の時に被爆した母は、両親を失った時にいつも「ピカ さえなければ、なんで誰も戦争を止めれんかったんじゃろうか?と何度も大人や社会を恨んだ」言っていました。しかしその母の希望は憲法9条でした、「もう二度と戦争をしないと決めた、憲法がある限り、これからはずっと戦争はないから、あなたたちも安心して大人になれるよ」と教えられて私は育ちました。
これからを生きる、子や孫に、なぜあの時止めてくれなかったのか?といわれないよう今一人ひとりが真剣に考え、この動きを止める時ではないでしょうか?
強行するのは絶対に許せないと地方議会から国にはっきり言うための意見書の提出は急務だと申し上げて反対理由とします。
議員各位のご賛同を賜りますようおねがいして討論を終わります